2年パレスチナ組では二匹の羊と一緒に一年間をすごしました。
なぜ羊を飼い始めたかというと、一年生の二学期の総合学習の話し合いの中で、児童達から「生き物のお世話がしたい、そしてやはり、学校でしかお世話できない大きな動物のお世話がしたい」という意見が出たからでした。
[羊を飼いたい]
どんな動物のお世話がいいか、様々な意見が出されなかなかまとまらない中、ある日一人の児童から「羊を飼ってみたい」という意見が出ました。クラス皆がそれに賛同し、その日から児童たちの、休日に牧場を訪れたりする羊しらべが始まりました。
「家の近くの牧場で羊の赤ちゃんが生まれそうだ。もし生まれたら学校で育てさせて貰えるかもしれない」という情報を、ある日児童がクラスに持って来ました。子どもたちはこの話を聞き「羊のお世話をしたい!!」という気持ちで一杯になりました。しかし、学校で羊を飼うのには、いくつかの大きな問題がありました。まずひとつは、3年生になるとクラス替えがあるということでした。もし卒業するまで飼い続けることができたとしても、その後はどうするのか・・・? そこでこの問題をみんなで考え、何度も話し合った結果、「牧場から羊を借りることが出来るのなら、是非羊のお世話をしたい」という意見がまとまりました。牧場に問い合わせてみると、「学校に羊をお貸ししてもいいですよ。もし飼うなら、大人の羊より子羊から育てたほうが慣れやすいでしょう。メス2匹だと、より扱いやすいかもしれません。」というお話を頂きました。そこで、早速お願いして一年間子羊をお借りすることに決めました。
[ミルク・ココアとの生活]
2007年2月17日、牧場で待望の羊が生まれ、それは願っていた通り2匹のメスでした。子どもたちは早速、まだ会ってもいない白と黒の2匹の羊に「ミルク」「ココア」という名前をつけました。
子羊が学校へ来るまでの間は、牧場の方のご好意で大人の羊の毛刈りを体験して羊に慣れたり、大工職人の方のサポートを受けて学校の中庭に羊に最適な小屋を作ったりして、2匹が来るまでの期間をわくわくしながら心待ちにして過ごしました。
2007年5月7日、いよいよ学校に白い羊「ミルク」と黒い羊「ココア」がやって来ました。その日から、2匹のお世話が始まりました。
羊のお世話はどのようなものかというと、まず一番大変な仕事が、「小屋の掃除」です。お散歩当番の児童が羊を外で散歩させている間に、掃除当番の児童が小屋の掃除をします。沢山落ちているフンを掃き、すのことマットをきれいに水で洗って元に戻します。最初は二時間ぐらいかかっていたその作業も、慣れてくると40〜50分で出来るようになりました。初めの頃は、2匹の羊のことを思うあまり、子ども達同士で問題がおきることもありました。しかし子どもたちは、「生き物のお世話」をするには協力することが何よりも大事なことだと気付き、問題も一つ一つ解決していきました。
  
また、生き物のお世話をするのには、毎日の餌代や掃除用具代など、お金がかかります。子ども達は、その費用を何とかして自分たちでも工面できないかと考え、以前行った羊の毛刈りで刈り取った羊毛で小物を作り、その作品を販売するお店を開くことを考えつきました。その小物を保護者の方々に買っていただき、売上金を羊のお世話にかかった費用に充てるのです。一生懸命羊毛を使ったしおりやティッシュケースを作り、三学期に無事お店を開くことが出来ました。
[お別れの日]
2008年3月18日、この日は子ども達と共に大きくなったミルクとココアが、とうとう生まれた牧場に帰る日でした。一年間いつも一緒に過ごしてきた二匹との別れは、とても寂しくつらい事でした。
しかし子ども達は、牧場でまた元気な二匹に会えるということに力を得て悲しい心を追い払い、自分たちで作詞作曲したミルクとココアの歌を一生懸命歌いながら二匹を見送りました。
羊の世話は、雨の日も寒い日も暑い日も一日も休みはなく、その仕事の多くは力仕事と汚れ作業です。しかし子ども達は一日もそれを休むことなく喜んで続け、羊たちを見守り可愛がって来ました。ミルクとココアも子ども達にすっかりなつき、子どもの声がすると鳴くようになりました。自分の体重と同じぐらいまで成長した羊を引いて堂々と散歩に出かける子ども達の姿を見ながら、困難を乗り越え全てを可能にしていく子どもの力に驚かされ感心するとともに、皆で協力することの大切さを教えてくれたミルクとココアに感謝をしています。
|